成長戦略としてのM&Aを成就させるために

M&Aプラットフォームを利用して売手企業のM&Aを支援していると、売手に興味を持った買手候補から様々な問い合わせが寄せられます。M&Aプラットフォームとは、インターネット上のシステムを活用しオンラインで売手・買手のマッチングの場を提供するWebサイトのことです。いつでもどこからでも簡単に売手とコンタクトを取れるという特性からなのか、唐突に詳細場所を聞いてきたり財務情報の開示を求めてきたりと、リアルでは考えにくい安易な問い合わせが寄せられることがあります。なかには自社名も名乗らずに「詳細を知りたいので資料一式を送ってください」と投げかけてくる方もいます。買収を検討しているぐらいなのでそれなりの成果をあげている買手なのかもしれませんが、M&Aを成就させることは難しいであろうと感じます。

M&Aは秘密保持に始まり秘密保持に終わるとも言われます。会社や事業を譲るということは非常にデリケートなことであり、特に売手にとっては「自社(事業)の売却を検討していることを知られたくない」という精神的な意味合いだけでなく、実利的にも次のような被害が情報漏洩によってもたらされる恐れがあります。

  • 社員の動揺(「ウチの会社潰れるらしいよ」などと飛躍した噂の流布、転職・退職者の発生)
  • 同業他社によるネガティブキャンペーン
  • 取引先や銀行等の対応の変化

ゆえに、当然ながら誰にでも情報をオープンにできるわけではありません。

また、リアルだろうがインターネットだろうが第一印象はとても大切です。挨拶や自己紹介も無く、質問事項が短文で誤字だらけ。これでは売手への敬意が感じられません。売手にとってはいくら売ろうとしている会社・事業であっても愛着があるのは当然で、そこには従業員やその家族、取引先がいます。それを見ず知らずの第三者に譲ろうとしているわけですから、敬意が感じられないお相手と交渉を進めようとは思わないでしょう。

近年はM&Aプラットフォームの台頭などもあり、小さな会社や事業を買いたいという買手が増えていますが、「何でもいいから良い案件あったら教えて」では実際に交渉のフェーズに進めることは難しく、少なくとも「買収したい業種・業態」「買収希望エリア」「買収上限金額」は事前に整理しておく必要があります。そもそもM&Aをする目的は何なのか(=それはM&Aでなければ達成できないか)を冷静に考え、そのうえで希望に合致する売手が現れたら、挨拶や自社情報、買収動機、将来ビジョン、希望金額などを丁寧に伝え、真剣且つ本気であることを分かってもらったうえでM&Aに臨むことが重要でしょう。 最近ではM&Aプラットフォームにおいても相手の真剣度と本気度を見極めるため「限定公開」という手法を取る売手企業が出ています。「限定公開」ではサイトに匿名情報は公開されず、我々のような支援専門家と買収意思の強い一部の有料会員のみが閲覧可能となります。M&Aを成長戦略として真剣に考えている買手企業であれば有料会員(月額9,800~29,800円/税別)になることも一つの手ですが、我々のような支援専門家にご依頼いただければ情報提供や交渉サポート、成長戦略立案までご支援いたします。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

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