有名なリーダーシップ理論に、SL(Situational Leadership)理論というものがあります。これは、部下の成熟度によって効果的なリーダーシップは異なる、というものです。
SL理論では、部下の成熟度を「職務的成熟度(教育や経験など仕事をするために必要な能力)」と「心理的成熟度(仕事に対する意欲)」によって4つの分類に分けました(上記図参照)。
これに対しリーダーシップは、「指示的行動(仕事志向)」と「援助的行動(人間関係志向)」により、教示型、説得型、参加型、委任型という4つのスタイルに分類されました。そして、有効なリーダーシップは、部下の成熟レベルによって教示型、説得型、参加型、委任型へと変化していくとされています。
上記でいうR1※の社員に対しては、計画・役割分担・作業方法などはリーダーが決め、部下に細かく指示をする教示型リーダーシップが向いています。R2は計画・役割分担・作業方法などはリーダーが決め、命令や指示を出すときは部下が納得できるように十分説明する説得型が向いており、R3は計画・役割分担・作業方法などはリーダーのサポートを受けながら部下が決める参加型、R4はリーダーはほとんど口出しせずに部下に自由にのびのびと仕事をさせる委任型が向いています。
※ Rはレディネス(Readiness)の略で、部下の成熟度を表す。
ここから言えることは、全てに対応できる唯一最善の普遍的なリーダーシップは存在せず、部下の成熟度に応じてリーダーシップのスタイルを変えていくことが望ましいということです。
かつてラグビー日本代表チームを率いたエディー・ジョーンズ氏はこのように言っています。
ときには厳しい言葉が必要な選手もいる、ただ肩を抱いてあげることが必要な選手もいる、
コーヒーを片手に話をしたほうがよい選手もいれば、
動画やデータを見せながらミーティングをしたほうがよい選手もいる
なぜあの部下は成長しないのか、そう感じられているとしたら、それは今のリーダーシップスタイルが効果的ではないのかもしれません。
リーダーにおいては自分のスタイルをどこまで柔軟に変えられるかが肝心です。