ボスではなくリーダーであれ

私の所属する団体の理事長が、「皆さんにはボスではなくリーダーになっていただきたい」という提言とともに以下のことを言っていました。

  • ボスは部下を追い立てるが、リーダーは人を導く。
  • ボスは権威に頼るが、リーダーは志、善意に頼る。
  • ボスは恐怖を吹き込むが、リーダーは熱意を吹き込む。
  • ボスは私と言うが、リーダーは私たちと言う。
  • ボスは失敗を批難するが、リーダーは失敗を処理する。
  • ボスはやり方を胸に秘めるが、リーダーはやり方を教える。
  • ボスはやれと言うが、リーダーはやろうと言う。

これは元々はイギリスの高級百貨店Selfridges(セルフリッジズ)の創業者であるハリー・ゴードン・セルフリッジの言葉だそうですが、これをトヨタ自動車の豊田章男元社長も第2回労使協議会(トヨタ春交渉2020)にて「ボスとリーダーの違い」として説明しています。(https://toyotatimes.jp/report/roushi_2020/054.html)

権限や管理権を行使して、部下に対する厳格な規則や制約のもとで結果を求めるようなボス的アプローチでは、「上司の指示には絶対に従わなければならない」「ミスをすると糾弾されるのでは」という恐れを部下に抱かせ、組織内で緊張とストレスを引き起こす可能性があります。一方で、協力的な姿勢で共感力を持って部下に接し、組織の目標を共有し一緒に実現しようと鼓舞するリーダー的アプローチは、部下に熱意をもたらし、協力意欲とモチベーションを高めるといったポジティブな効果が期待できます。

先日、ある講演を聴講した際にその講師は「リーダーシップで最も大切なことは人の心を動かすことであり、最も必要なことです」と言っていました。ボス的アプローチでは、部下を物理的に動かすことはできても、部下の心を動かすことは難しいでしょう。また、半ば強制的に動かすものであるため、一時的には動かせても、アプローチをやめた途端に部下は元に戻ってしまいます。かくいう私自身も、いかに理屈を並べて相手を納得させるか、こちらが正しいということをいかに分からせるか、そのようなことばかりを考え、高圧的な態度で指示を出して相手を動かそうとしている時期がありました。理屈や正しさ、威厳ももちろん必要ではありますが、しかしながら、それだけでは人の心を動かすことはできません。 今までボスだった人がすぐにリーダーに変わることは難しいかもしれません。ですが、リーダー的アプローチに切り替えることはそこまで難しいことではないはずです。
「このプロジェクトは期限までに終わらせて、私に報告しなさい。」
「あなたの専門知識を活かしてこのプロジェクトを担当してもらえますか?私たちで成功させましょう。」
言い方を意識的に変えるだけでも部下に及ぼす影響力は大きく変わります。
ボスではなくリーダーであれ。 このことを社内のリーダーに認識いただき、部下の心を動かすリーダー的アプローチを実践いただければ、部下ひいては組織のパフォーマンスも上がっていくはずです。

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