泥臭い取り組みが重要

先日、成長戦略として数々のM&Aを実行し、会社を拡大させている社長とお話をする機会がありました。

その社長が仰っていたことは、「M&A後、いわゆるPMIがとても重要で、お相手の会社の従業員とは何度も何度も面談を重ねています。面談に限らず、とにかくコミュニケーションを取ることをとても大切にしています。」とのことでした。

M&Aの成否を決めるのはPMI

PMIとはPost Merger Integrationの頭文字を取ったもので、M&A成立後の統合プロセスのことをいい、異なる組織や文化を統合し、M&Aにおけるシナジー効果を最大化することを目的とします。

M&Aは企業が成長するための一つの手法に過ぎませんが、M&Aは成約に至るまでに時間も手間も、そして精神的負担もかかるため、いつの間にかそれ自体がゴールになってしまっているケースが珍しくありません。

しかし、M&Aはあくまでもスタートであり、更には、M&Aの成否を決めるのはPMIと言っても過言ではありません。

PMIにおける最重要人物は新社長

ではPMIを主導するのは誰か。

人事担当者やプロジェクトリーダーなども考えられますが、こと中小企業においてはやはり経営者(新社長)でしょう。

とある会社の新社長は、M&A後の最初の1か月間で全従業員との1対1の面談を行い、その後も3か月サイクルで全従業員との面談を繰り返し行っていきました。

また別の会社の新社長は、朝は元の会社に出社し、日中は譲り受けた会社にて1日を過ごし、夕方にまた元の会社に戻ってくるということを2年以上続けていました。

冒頭の社長もそうですが、オフィシャルな面談を設けること、それ以外にも現場を歩いて回り日常会話や雑談を積極的に交わし、食事や飲み会といったインフォーマルコミュニケーションも活用すること、それがM&A(後のPMI)を成功に導く人たちの共通点です。

会計やIT、人事(評価や賃金、昇格昇進)制度の統合も大切ですが、人がその中心にいるPMIにおいては、正当性や妥当性、合理性だけではうまく進められないことが多々あり、上述のような、一見すると泥臭い取り組みが最も重要であることは間違いありません。

そしてそれができるのは新社長しかいません。

話は少し逸れますが、今年の夏の甲子園、仙台育英は惜しくも連覇とはなりませんでしたが、それでも準優勝という素晴らしい成績を収めました。

その仙台育英の須江監督は、選手一人ひとりと日替わりで面談を行い、グラウンド上でも選手との対話に時間を割くことを心がけているそうです

※dmenuニュース「《甲子園優勝監督対談》智辯和歌山・中谷仁と仙台育英・須江航が語る”Z世代論”」

さらには選手それぞれに対してコミュニケーションの質も変えるようにしているんだとか。

今回はM&A後のPMIにフォーカスした内容でしたが、その内容は組織の活性化や変革においても大変重要なものです。「ドアはいつも開けてある」と従業員が近づいてくるのを待つのではなく、自分から近づいていくこと。

組織の活性化や変革においても、そのような姿勢は十分条件ではなくとも必要条件と言えるでしょう。

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