事業承継に際し、自社の価値を再定義し、将来ビジョンを描こうとしている企業があります。しかしながら、いざそれをやろうとすると意外と難しいものです。そのようなときに活用できるものとして「経営デザインシート」と呼ばれるものがあります。最近では事業再構築補助金やものづくり補助金の申請の際にもその活用が推奨されていることからご存知の方も多いと思いますが、経営デザインシートは内閣府の知的財産戦略推進事務局が2018年5月に公表したフレームワークであり、以下のように定義されています。
経営デザインシートは、企業等が、将来に向けて持続的に成長するために、将来の経営の基幹となる価値創造メカニズム(資源を組み合わせて企業理念に適合する価値を創造する一連の仕組み)をデザインして在りたい姿に移行するためのシートです。
内閣府 「経営をデザインする」
いわば将来の経営(ビジネス)を構想(デザイン)するための思考補助ツールであり、次のような特徴があります。
- 1枚で全体を俯瞰できる
- 「これまで」と「これから」の時間軸を意識できる
- 記載欄が限られているため大切なことしか書けない(=大切な部分を明確にできる)
- 「資源」と「ビジネスモデル」と「価値」の関係性を明らかにできる
さらには、経営者の思いや考えを見える化することで従業員との共有を図ることはもちろん、経営者と社員が共同で経営デザインシートを作成することで経営課題の整理や新事業の構想を練ることであったり、事業承継においては、現経営者が「これまで」を、後継者候補が「これから」を記載することで経営の方向性の整合を取ることができるなど、企業経営の対話ツールとしても活用できます。
冒頭の企業では、社長がまずは記載し、それをもとに従業員たちと一緒に考えていく(作っていく)ことにしました。経営デザインシートの作成は決して難しいものではありませんが、第三者の意見を取り入れることも一つの手です。ご興味のある方はご相談くださいませ。