思い込みを手放し他者の声に耳を傾ける

上記の図で、上の横棒と下の横棒とではどちらが長いでしょうか。

これはご存じの方も多いであろう図ですが、初見の場合には多くの方が 「C:同じ」 と回答します。

ところが、実は 「B:下の横棒が長い」 が答えです。

私たちの認識や判断は思い込みに左右されがちです。認知心理学によれば人の脳には「思い込みによって実際とは違う認知をする(実際とは違って見える)」という性質があるそうで、日常においても思い込みが先行して物事を正確に捉えられないことが往々にしてあります。

例えば 「御社の強みや特徴はどのような点でしょうか。」という問いに対し「ん~特にこれってものは。ウチは小さな会社だし、特別なものを売っているわけでもないですしね。」 と回答されることがあります。これは、自分たちにとって当たり前なことは世間でも当たり前である、と思い込んでいるが故に自社の強みに気付けない場合です。他方、自社の強みを断定的に話してくださったものの実はそれは思い込みであったということもあります。環境変化によって既に競争優位性を失っているにもかかわらず過去の成功体験からそれを認識できていない場合などです。

自社の強みを正確に認識するには思い込みに注意することが必要であり、そのために大切なことの一つが他者の声に耳を傾けることです。

とある企業で、自社の強みを(弱みも)しっかりと認識されている社長がいらっしゃいました。なぜそこまで認識できているのか、話を聞いていくうちに分かったことは、その社長は顧客の声に徹底的に耳を傾けていたということです。2000年以降、インターネット上で自社に寄せられた3,000件近い口コミ全てに目を通し、1件1件その全てに対し社長自らが丁寧な文面で返信していたのです。当然ながら良い内容だけではなく自社にとって耳の痛い内容も多々あるものの、顧客の嗜好はどのように変化していっているのか、顧客にとって自社にはどのような価値があるのかをそれによって客観的に把握できているとのことでした。

顧客以外にも、従業員や取引先の声も重要です。商品やサービスを直接提供している従業員は、経営層が知らない情報を持っていることが少なくありません。また、自社の商品やサービスを利用している取引先からは、競合他社との違いや自社の特徴、なぜ自社を選んでくれているのかなどを聞き出すことができます。

自社の強みを認識することは、自社の競争力を高めること、今後の戦略を導き出すうえでも欠かせないものです。そのためには思い込みを手放し他者の声に耳を傾けることが重要です。

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