「そのもの」を教えていませんか?
メンバーに適切な行動を取ってもらうために、リーダーが「やるべきこと」を教えるのはごく自然なことです。しかし、行動そのものばかりを指示していては、自主的な行動は生まれません。
「これをやっておいて」「それはダメだよ」
このような教え方は、一見わかりやすく指導力があるように見えるかもしれませんが、言われた通りにしか動かない人をつくり、自ら考えて動ける人を育てることにはつながりません。なぜなら、リーダーが教えているのは“行動そのもの”であって、行動を生み出す“思考”ではないからです。
行動の背景にある「思考」に目を向ける
「なんでそんなことをしたんだ!」「何を考えているんだ!」
部下の予想外の行動を見たとき、つい口にしてしまう言葉です。しかしどんな人でも、何かを考えたうえで行動しています。考えが浅いように見えたとしても、「自分とは違うことを考えている」だけかもしれません。つまり、 “考えていない”から見えないのではなく、“考えている内容が伝わっていない”ということです。大切なのは、行動だけでなく、その背後にある「何を考えてそう動いたのか」に目を向けること。そこに、自主性を育てる鍵があります。
行動を変えるのは、「思考の質」
人が行動できないとき、頭の中では「できない理由」を探しています。
「時間が足りない」「前に失敗したから今回も無理」「他のメンバーの理解が得られなさそう」
このように、“できない根拠”を積み上げていけば、当然ながら「やらない」という選択になります。一方、行動する人は「どうすればできるか」を考えています。
「全体は無理でも、ここだけならできるかもしれない」
「前回の失敗はこの部分が原因だったから、今回はこう変えてみよう」
「まずは自分だけでもやってみて、反応を見よう」
このように、“できる方法”に意識を向けることで、「まずやってみよう」という小さな一歩が生まれます。つまり、行動を左右するのは“能力の差”ではなく、“考える内容の差”なのです。
自主的な行動を促すために
真の自主性とは、「言われたからやる」ことではありません。「自分で考えた結果、やるべきだと思ったからやる」――それが、自主的な行動です。リーダーの役割は、行動を一から十まで指示することではなく、「何を考えるべきか」を伝えることです。行動を教えるのではなく、考える枠組み・視点・問いかけを与えることで、メンバーは自ら判断し、行動に移すことができるようになります。たとえば、「なぜそれが必要か?」「誰のためか?」「どうすればより良くなるか?」といった問いかけを共有することで、メンバーの思考の焦点を変えることができます。大事なことが実行されないのは、大事なことを“考えていない”からです。行動を正す前に、その行動を生み出した“思考”にアプローチすることこそが、リーダーの重要な仕事です。

















