TOKYO PRO Marketをご存知でない方も少なくはないと思います。TOKYO PRO Market(東京プロマーケット、以下 「 TPM 」 という) とは、2009年に東京証券取引所(東証)に開設された新しい株式市場です。2017~2019年の間のTPMの上場企業を見てみると、その年間売上高(中央値)は15.7億円、最も小さな企業は6,000万円、従業員数では全体の62%が50人以下、14%は10人以下の企業です。さらには地方に本社がある企業が70%であり、まさに地方の中小企業のための株式市場とも言えるかもしれません。東証の他の株式市場(東証一部・東証二部・マザーズ・JASDAQ)と比べて上場企業数こそまだ少ないですが、年々増加しており、宮城県内では㈱ジェイベースが2021年2月にTPMに上場しています。
TOKYO PRO Marketの特徴
東証一部・東証二部・マザーズ・JASDAQのような「一般市場」では誰でも投資家(株主)として市場に参加(株式を売り買い)することができますが、TPMでは市場への参加がプロ投資家に限定されています。このことからTPMでは上場時に他の株式市場と同様のメリットが享受できる他、以下のような特徴があります。
①自由度が高く柔軟な上場基準
TPMでは以下の実質基準(上場適格性要件)を満たしていることが必要ですが、売上や利益額、株主数、流通時価総額といった形式基準(数値基準)はありません。
(1)市場の評価を害さない会社であること
(2)公正かつ忠実に事業を遂行していること
(3)コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制が整備され、適切に機能していること
(4)企業内容、リスク情報等の開示を適切に行い、開示義務を履行できる態勢を整備していること
(5)反社会的勢力の排除
特定上場有価証券に関する有価証券上場規程の特例(東京証券取引所)第113条
②支配権(オーナーシップ)を維持したままの上場が可能
流動させなければならない株式数や株式比率に関する基準がないため、株主構成は現状のまま、つまり経営の支配権(オーナーシップ)を維持したままの上場が実現できます。
③スピーディーに上場できる
上場までに要する期間は一般市場では3~5年と言われますが、TPMは約2年(上場申請に必要な監査期間が1年と短いため)と一般市場よりも早く上場することができます。また、上場コストも抑制できます。
④上場準備から上場後までサポートするJ-Adviser制度
J-Adviserは東証から委託を受けた法人資格で(日本M&Aセンターなど、2021年5月時点で11社)、上場を希望する企業に対し、上場準備から上場後まで適切な助言・指導・モニタリングをし、上場審査もJ-Adviserが行います。
地方には目立たずとも素晴らしい企業が数多くあります。株式市場への上場は成長の起爆剤となるもので「会社の成長を加速させたいがオーナーシップは維持したい」と考える有望な地方企業にとっては、TPMへの上場は有力な選択肢の一つです。また、事業承継問題を解消するための手段としての活用もできます。
地域経済のコア企業としての今いっそうの成長のため、一度ご検討されてはいかがでしょうか。