組織文化は一日にして成らず

M&A支援機関の登録制度が中小企業庁にて創設されました。この制度の趣旨は、「M&Aの基本的事項、手数料の目安、適切なM&Aのための行動指針等の理解及び普及を促すこと」「中小企業が培ってきた貴重な経営資源を将来につないでいこうとする際、より一層円滑にかつ安心してM&Aを手段の一つとして選択できる環境の実現を目指すこと」にあります。実際には業者は登録せずともM&A業務をすることはできますが、例えば「事業承継・引継ぎ補助金※1」において補助対象となるのは登録されているM&A支援機関に支援を依頼した場合のみ、ということになりました※2。弊社は令和3年9月30日付で支援機関に登録されることが中小企業庁HPにて公表され、10月11日、正式に登録が完了しました。

※1 M&Aの売手・買手双方の専門家活用に係る費用(仲介手数料、デューデリジェンス費用、企業概要書作成費用など)を補助するもの
※2 専門家活用型の場合。令和3年度当初予算分から。

さて、今回の制度創設の背景の一つにあるのは「利用者保護」です。M&Aを通じた詐欺行為を働く悪徳業者が増えているのだそうです。詐欺行為などは言語道断ですが、そこまでいかなくとも、M&Aは高額な取引であるがゆえに成約させること(手数料を得ること)を第一義に、当事者の気持ちに寄り添うことを怠って交渉を強引に進めてしまうなどして、結果的に「悪徳業者」と呼ばれてしまうところもなかにはあるようです。

従業員がどのような姿勢で働くかは企業文化が大きく関わります。組織文化とは組織のメンバーが共有するものの考え方、ものの見方、感じ方のことであり、これを構成するのは「信念(パラダイム)」「価値観」「規範」と言われています。やや話は逸れますが、最近流行っている呪術廻戦という漫画のなかで、証券会社で働いていた七海という登場人物にまつわるシーンに以下のような一節があります。

七海  「お金を預かるということは人生を預かるということでもあります。利益追求とリスクのバランスは言わずもがなですね。初めは何も特殊なことをする必要はありません。お客に対して真摯であること、それだけは忘れずに」

後輩  「はい!」

上司  「なーなみ、そんなお硬い話ばっかするな、新人がビビっちまうだろォ?新人・・・君が第一に考えるべきは会社の
利益だ、それが依頼主の利益にも直結!」

七海  「伸びしろのないクズ株を口八丁で買わせてもですか」

上司  「当然!!市場と四六時中にらめっこしている俺達に対する正当な報酬だ」

このような信念(パラダイム)を持つ上司のもとでは利益至上主義の文化が形成され、顧客に対する真摯な働き方を従業員に期待することは難しいでしょう。

経営学者である加護野忠男氏は、組織文化をつくり出す取り組みとして

  • わかりやすく且つ理想を感じさせる言語で経営理念、経営方針、スローガンや行動基準などを表現する
  • 配置転換などで様々な仕事を体験させるなどして具体的な行動を共有させる
  • 創業者や社内の優秀な人材などの象徴となるものを共有させる
  • 社内研修などで価値観を浸透させる
  • 採用、昇進・昇格の際には適切な人を選抜する

というようなことを挙げています。組織文化の形成にはたいへんな時間と手間がかかりますが、会社を成長させるような望ましい方向に組織文化をつくりあげる、絶えず変革していくことは、費やした時間と手間以上のものを会社にもたらすはずです。弊社が貴社の企業文化をつくる、変えることはあいにくできませんが、貴社がそれをつくる、変えることのお手伝いはできます。ご興味のある方はお問い合わせくださいませ。

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