不満の解消と個別の動機づけ

「就業規則の整備、諸手当の充実、年間休日の増加・・・、社員たちのことを思って色々と取り組んで、
確かに不満は低減されました。でも、社員たちのやる気には繋がらなかったようです。」

約半世紀続く部品加工会社の三代目社長のご発言。

ご存知の方も多いかと思いますが、アメリカの心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱したモチベーションに関する有名な理論があります。「どのようなときに仕事に満足を感じて積極的になったか」「どのようなときに仕事に不満を感じて消極的になったか」ということについて、ハーズバーグはアメリカのピッツバーグで約200人の技師と会計士を対象に調査を行いました。その結果が下記です。

※ハーズバーグは「仕事に満足をもたらす要因」を動機づけ要因、「仕事に不満をもたらす要因」を衛生要因と呼んでいます

この調査からは、満足をもたらす要因と不満をもたらす要因は異なり、満足をもたらすのは職務内容に関連する要因、不満をもたらすのは職場環境に関連する要因であるということ、そして、不満をもたらす要因が無くなってもそれはあくまでも不満が解消されるだけであって、動機づけにはならない(仕事のやる気には繋がらない)ということが明らかになりました。

給料に対して不満を持っている社員に対し給料をアップして解決(不満を解消してやったのだから文句はあるまい・・・)とする会社もありますが、それだけでは不十分です。それは、不満の解消にはなっても十分な動機づけにはならず、モチベーションとして持続もしないからです(一時的な喜びで消えます)。無論、社員にとって給料は低いより高いほうがいいですが、給料だけで社員の士気を高めようとすること、その反対に社員が給料だけを目的に仕事をしているような場合には、双方にとって決して良い結果をもたらさないでしょう。

冒頭の三代目社長は、不満を解消することとは別の取り組みによって社員たちの動機づけを図ることが重要であると考え、まずは、社員第一主義が究極の顧客主義であるとの信念から「社員の働きがいNo1」を実現することを社員たちに宣誓したそうです。そして、3か月に1度全社員(50名超)との面談を実施し、会社への要望や不満だけでなく今後のキャリア志望を個別にヒアリングすることを始めました。

社員はロボットではありません。インプットが同じでも人によってアウトプットは異なり、人間であるからこその欲求を必ず持っています。不満の解消(低次欲求の充足)は制度改定などの一律的な取り組みで可能かもしれませんが、動機づけ(高次欲求を満たす)は個別的な働きかけでないと困難でしょう。各人の動機の源泉はどこにあるのかを把握し、達成感、他人に認めてもらうこと、仕事そのものの面白さ、責任の増大、昇進、成長の可能性など、各人ごとに異なる欲求に働きかけていく(インプットを変えていく)ことが必要です。

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