交通安全当番から考える挨拶

先日、息子の通う小学校の交通安全当番がウチに回ってきました。朝、横断旗を片手に子供たちを誘導し「おはよう」「行ってらっしゃい」と声をかけると、「おはようございます!」「行ってきます!」と元気な挨拶が返ってくるかと思いきや・・・・・・大半の子供たちが無視でした(笑)。挨拶を返してくれたのは2割にも満たなかったと思います。その理由は定かではありませんが、私が立っていた場所は小学校からやや離れており、知らないおじさんからの声がけに子供たちの防犯意識が働いたのかもしれません。

私は前職時代に新入社員から管理職までの社員教育に携わってきましたが、どの階層においても企業側が必要と考えているものが挨拶でした。それほど挨拶は大切ということなのでしょうが、裏を返せば、それだけ挨拶が出来ていないと認識している企業が多いとも言えるかもしれません。
挨拶をしない人には何かしらの理由があります。好き嫌いが激しい、他人とコミュニケーションを取りたくない、もしかすると挨拶をしても仕方がないと考えている(マナーより自分の合理性を優先している)のかもしれません。そして、意外と少なくないのが「周囲に飲み込まれている」というものです。周りが挨拶をしない、挨拶するとかえって目立って恥ずかしい、浮いてしまう、という状況であるから自分も挨拶をしない、というわけです。

以下は普及理論と呼ばれ、イノベーション(新製品など)が人々にどのように普及していくかを明らかにしたものです。普及にあたっては初期採用者から前期追随者の間の普及のハードルが最も高いとされ、キャズム(溝)と呼ばれます。新製品などが普及するかどうかはこのキャズムを超えられるどうかが分かれ道と言われますが、企業変革プロセスもこの普及理論と似ているところがあります。つまり、企業変革のトリガーとしてまずは革新者(推進委員等の中心メンバー)を策定し、革新者から初期採用者に変革が拡散され、キャズムを乗り越えて前期追随者にまでそれを広げることができれば、企業変革が進むことが期待されるということです。

無印良品はかつて38億円の赤字に陥った際、社風を変えるためにまずは挨拶を変えることから始め、課長以上の管理職に朝のあいさつ当番を実施させたそうです。※東洋経済 『無印良品、課長以上は「朝8時」から挨拶当番!「奇跡のV字回復」を支えた社風改革』 より

また、「挨拶日本一」を掲げる地方のとある食品製造会社では社長や取締役らが社員たちの手本となるような挨拶を率先して実践しており、それが数百名の社員たちにも影響を与え、素晴らしい挨拶の実践という企業文化を醸成し、更には商品イメージの向上に繋がっています。以前、工場見学者のアンケートには以下のようなことが書かれていました。

工場に入ると、作業員から、挨拶の声が飛んできます。作業中にもかかわらず、手を休め、挨拶する。
挨拶は人間関係のスタート。相手を見て、明るく、元気よく、心を込めて。
それは素材に接する姿勢と同じなのでしょう。

挨拶の活性化と定着には上司・先輩の率先垂範、常日頃の指導教育が欠かせません。場合によっては評価項目への追加なども考えられますが、まずは気づきを与える場としての研修にも一定の効果があります。ご興味のある方はお問い合わせくださいませ。

防犯は大人にとっては挨拶をしない理由にはならないでしょう。挨拶をしないで失うものはあっても挨拶をして失うものはなにもありません。ビジネスに限らず、大人こそ、誰に対しても自ら率先して笑顔で挨拶が交わせるような社会であればいいなと思います。

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