社長が描く未来を、組織全体の行動へ変えていく。その役割を担うのが経営幹部です。では、経営幹部に本当に求められる役割とは何でしょうか。
経営者は「直感」で決める仕事
経営者の仕事は、「意思決定」です。市場環境や競合の動き、社会情勢など、経営を取り巻く環境は常に変化しています。その中で、「進むのか」「止まるのか」「投資するのか」「撤退するのか」といった判断を下すのが経営者の役割です。経営において、決断を先延ばしにすることは大きなリスクであり、判断を誤ること以上に、判断しないことが成長機会を失わせることも少なくありません。そのため経営者は、日々、決断を求められます。数え切れないほどの意思決定と、その結果を検証する中で、独特の判断力が磨かれていきます。それは単なる勘ではありません。これまでの経験や成功、失敗の積み重ねが、「こちらだ」という答えを自然と導き出すのです。いわば、長年磨かれてきた直感。そんな直感を持つ経営者は少なくないでしょう。
その直感は、社員には伝わりにくい
一方で、この「直感」には弱点があります。社長の頭の中ではつながっていても、社員にはその判断に至るまでの過程が見えていません。「こっちの方がいい。」「今回はこれでいこう。」社長にとっては十分な理由でも、社員は「なぜだろう」と感じます。同じ経験を積み、同じ立場で考えてきた人なら分かるかもしれません。しかし、多くの社員はそうではありません。だから、「社長が決めたから」というだけでは、本当の意味では納得できないのです。
だからこそ、経営幹部が必要になる
そこで大切になるのが、経営幹部の存在です。経営幹部の仕事は、社長の言葉をそのまま伝えることではありません。社長が何を考え、何を目指しているのか。その背景や思いまで受け止め、自分の中で整理することです。そして、社員が理解できる言葉に置き換えて伝える。「なぜ、この方針なのか。」「会社はどこへ向かおうとしているのか。」そこまで伝わって初めて、社員は納得し、自ら動き始めます。
強い会社は、「社長の考え」が浸透している
業績の良い会社を見ていると、一つ共通点があります。現場が社長の考えを理解していることです。もちろん、全員が社長と同じ考えになる必要はありません。それでも、「会社は今どこへ向かっているのか」は、多くの社員が理解しています。だから判断が早い。だから行動も早い。逆に、「社長がそう言ったから」という言葉が増えてきたら要注意です。方針ではなく、指示だけが伝わっている状態かもしれません。
経営幹部は「社長の考え」を翻訳する仕事
社長は未来を決め、社員はその未来をつくります。その間をつなぐのが経営幹部です。経営幹部の役割は、社長の指示をそのまま伝えることではありません。社長の思いや考えを理解し、自分の言葉で現場に伝え、社員を導くことです。その力は、経験だけでは身につきません。学びと実践を重ねることで磨かれていくものです。だからこそ、経営幹部を育てることは、人材育成ではなく、会社の未来をつくる「経営」そのものなのです。そのためには、経営幹部として必要な力を、会社として計画的に育てていくことが欠かせません。

















