縦割りを超えて、信頼される組織へ

現場で感じた行政組織の強さ

昨年は仙台七夕花火祭の実行委員長を務め、今年は青葉まつりの実行委員会の一員として運営に携わらせていただきました。どちらも仙台を代表する催事であり、多くの関係者の協力によって支えられています。その過程で行政の皆さまと関わる機会を数多くいただき、改めて感じたことがあります。

それは、行政という組織が明確な役割分担と責任のもとに機能しているということです。各部署がそれぞれの責務を担い、高い専門性をもって業務にあたっています。複雑で多岐にわたる行政サービスを安定的に提供するためには、こうした縦割りによる専門性の確保は不可欠だと思います。

縦割りの強みと陥りやすい課題

「縦割り」という言葉は否定的に使われることが多いですが、縦割りそのものが問題なのではありません。すべての部署が同じことをしていては組織は機能せず、それぞれが専門性を深めるからこそ高い品質の仕事が可能になります。

一方で、縦割りには陥りやすい課題があります。それは、組織運営がどうしても上から下への流れを中心としたものになり、横の連携が希薄になってしまうことです。自部署の責任には敏感でも、その先にいる相手や他部署との接点への意識が薄れると、部分最適の積み重ねが全体最適を損なってしまいます。

小さな対応が組織の信用をつくる

これは行政に限らず企業でも同じです。たとえば「隣の部署の電話が鳴っていても、自分の担当ではないから取らない」という話があります。些細に思えますが、縦割りの弊害を象徴する例です。

電話をかけている相手にとって、どの部署かは関係ありません。会社に連絡しているのであって、担当部署を意識しているわけではないからです。それにもかかわらず「担当外です」と線を引けば、「この組織は不親切だ」という印象が残ります。こうした小さな積み重ねが、やがて信用を損ないます。組織への信頼は日々の対応の積み重ねで育まれ、失うときは驚くほど早いものです。

顧客最適を示し続けるリーダーシップ

では、どう乗り越えるべきか。私は、その答えは「顧客最適を組織の中心に置くこと」だと思います。行政であれば市民、企業であればお客様。自分たちの仕事の先にいる相手を常に意識することです。

顧客目線が根づく組織では、「誰の担当か」ではなく、「相手にとって何が最善か」を基準に判断がなされます。必要であれば部署を越えて連携し、相手に余計な負担をかけません。そこでは縦割りは専門性を支える土台となり、弊害にはなりません。そして、その文化を根づかせるのがリーダーの役割です。組織は放っておけば担当範囲や責任分界に意識が向きます。だからこそリーダーは、「私たちは誰のために存在しているのか」を示し続けなければなりません。

私は祭りの運営を通して、多くの優秀な行政職員の皆さまの真摯な姿勢から、多くの学びを得ました。同時に、どんな優れた組織でも、役割分担がある以上、縦割りの課題とは無縁ではいられないことも感じました。だからこそ大切なのは、仕組みを否定することではなく、「誰のための仕事か」という原点を見失わないことです。それこそが、行政であれ企業であれ、信頼され続ける組織の条件なのだと思います。

関連記事

  1. 働きやすさ ≠ 働きがい

  2. 部下とのより良い面談のために

  3. 自分が不要になることがゴール

  4. 部下の気づきを促すコーチング・スキル

  5. 会社の成長は、「経営幹部」で決まる。

  6. 部下へのコメントを効果的なものにするには

  7. 言うことを聞かなければ言い続ける

  8. 面談のポイント

最近の記事 おすすめ記事
  1. 2025.12.29

    年末のご挨拶
PAGE TOP